2016 年浙江宁波大学基础日语考研真题
Ⅰ.文字·語彙(25 分)
一、次の文の下線部の漢字の読み方を平仮名で書きなさい。(0.5 点×10=5 点)
1、①町人のあいだには、②世相に対する③皮肉や④風刺にこっけいに表した狂歌や⑤川
柳が流行した。
2、9 世紀のはじめ、僧の最澄と⑥空海は⑦遣唐使とともに唐に渡り、これまでとは違う
新しい⑧仏教を学んで帰国した。奈良時代の仏教は、⑨仏の力で国家や天皇を守るための
もので、平城京の大寺院や⑩僧侶は政治との結びつきが強かった。
二、次の文の下線部の平仮名を漢字で書きなさい。(0.5×10=5 点)
①おやゆずりの②むてっぽうで小供の時から③そんばかりしている。小学校に居る時分学
校の二階から飛び降りて一週間ほど④こしを抜かした事がある。なぜそんな⑤むやみをし
たと聞く人があるかも知れぬ。別段深い⑥りゆうでもない。⑦しんちくの二階から⑧くび
を出していたら、同級生の一人が⑨じょうだんに、いくら⑩いばっても、そこから飛び降
りる事は出来まい。
三、________ に入れるのに最もよいものを A·B·C·D から一つ選びなさい。(1 点×15
=15 点)
1 現在、工場にあるすべての機械を 24 時間______させて、生産量を増やしている。
A 展開 B 稼動 C 起動 D 運行
2 二つの発表は優劣をつけ難いが、______選ぶなら後者のほうだ。
A よほど B いっそう C しいて D いかに
3 お客様からの______に対応するのが鈴木さんの仕事です。
A ダイジェスト B アドバイス C クレーム D トレーニング
4 机の上に置いたはずのレポートが見つからないが、ほかの書類や資料に______
まっ
たのだろう。
A なじんで B からんで C おさまって D 紛れて
5 刺激を受けながら長年に渡って______を積むことができます。
A チーム B グループ C キャリア D エリア
6 彼女はいつもにこにこしていて______がいい。
A 愛情 B 愛想 C 感情 D 感想
7 私は職業柄、様々な企業からビジネスに関する______を求められる。
A インタビュー B プレゼン C トレーニング D アドバイス
8 夫婦喧嘩は______食わぬ。
A 犬も B 人間も C 誰も D なにもかも
9 失敗は誰にでもあるのだから、いつまでも______していないで、元気を出してよ。
A くよくよ B のろのろ C ひっそり D ふんわり
10 家中を______探したが、結局、鍵は見つからなかった。
A すべて B できるだけ C くまなく D ほんとう
11 熱が高いときは、無理をしないで______していてください。
A 静か B 安静 C 安らか D 動かなく
12 大学院時代は、寝る時間も惜しんで専門分野の研究に______していた。
A 励み B 取り組み C 没頭 D 頑張り
13 あの選手は、走る______がとてもきれいだ。
し
A フォーム B ポーズ C ポジション D コントロール
14 私は目が悪くて、眼鏡をかけないと物が______見えるんです。
A とぼけて B ふやけて C とろけて D ぼやけて
15 面接による______の結果、合格者を決めた。
A 採用 B 採択 C 当選 D 選考
Ⅱ.文法(25 点)
一、 に入れるのに最もよいものを A·B·C·D から一つ選びなさい。(1 点×20 =20 点)
1 やっとの______、頂上にたどりついた。
A ことで B のあまり C のかぎり D のは
2 自分は朝起きて、どこへ行く______歩き出した。
A になく B ともなく C に限らず D どころか
3 借りた本は全部返した______のに、図書館からまだ返していない連絡があった。
A わけな B ものな C はずな D ことな
4 会費は一人______五千円です。
A について B に関して C に対して D につき
5 大会社の社長______、総理大臣と付き合う機会も多々ある。
A にしたら B としたら C ともなると D ならでは
6 病気だと聞いたけれど、______顔色がよいですね。
A にしては B それとしては C それにしては D だから
7 まずいと思っていたが、______おいしかった。
A 案の定 B 思わず C 案外 D あいかわらず
8 これは大事な取引だから______ミスのないように。
A てんでない B さほど C くれぐれ D まるっきり
9______テロリストが捕まったそうです。
A なんとかいう B どうかした C なんていう D どうこうという
10 最近は健康ブームだが、私はこれといった健康法も______。
A やっていない B やっている C やった D やる
11 合格できるかどうかは筆記試験______だ。
A による B から C しだい D ばかり
12 タバコは体に悪いと分かって______、なかなかやめられない人が多い。
A いるかぎり B いるし C いるなら D いながら
13 みんな「幸せになりたい。」と言うが、そもそもに何______幸せとするのだろうか。
A にむけて B をめぐって C をもって D につれて
14 いくらお金がほしい______、そんなに無理して働いたら病気になってしまいますよ。
A からといって B からこそ C というから D のだから
15 生活はあまり楽ではないが______やっていける。
A どうかすると B どうにか C なんともなく D なんとして
16 よく調べた______、時代描写がよく出来ている。
A からには B ばかりに C だけあって D というと
17 長い間の努力にも______、彼女はついに歌手として成功しなかった。
A おかげで B せいで C かかわらず D およばず
18 子ともじゃ______し、そんなことで泣くんじゃない。
A ない B あろう C あるまい D なかった
19 開幕を明日______オリンピック会場では徹夜の作業が続けられている。
A と控え B に控え C が控え D を控え
20 田中さん、忙しい______電話ぐらいくれればいいのに。
A にしても B にしては C から D では
二、次の古文を現代日本語に訳しなさい。(5 点)
1 いまだかくの如くの例を聞かず。
2 「奥山に、猫またといふものありて、人を食ふなる」と人の言ひけるに。
3 人は去る有つて来たる無し。屋は壊ること有つて、造ること無し。
4 我を知らずして、外を知るといふ理あるべからず。
5 いたづらにひをふれば、ひとびと、うみをながめつつぞある。
Ⅲ.読解(50 点)
文章一、次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして、最もよいものを 1~4
から一つ選びなさい。(4 点×2=8 点)
日本人はヨーロッパ人のように自然と対決するのではなく、自然に親しみ、自然に同化す
ることによって安らぎを得てきた。それと同じことが社会についても言える。日本人は欧
米人のように個人を社会に対置することなく、世間と自分とをひとしなみに表象してきた
のだ。「渡る世間に鬼はない」という諺が①その一端を語っている。日本の自然が優しい
山河であるように、日本の世間も――多民族の社会と比べれば――結構、心安い社会だっ
たからであろう。
無論、日本には地震をはじめとして、自然の災害も少なくない。同様に、日本の社会も甘
えていればそれで済むというほど寛容なものだったとも思えない。世間の目は往々にして
冷たいのである。しかし、多くの異民族が同居しているのが常態であるような他の国々と
違って、日本は極めて同質的な社会であり、自然の厳しさも、社会の厳しさも、ほかと比
べればずっと気楽なものと言える。そして、②日本人の人間観や「自分」意識は、このよ
うな風土の産物と言ってよい。こうした社会では、人々は自分を主張し、世間と対決して
生きるよりも、自分を顧み、世間という人間関係の中での自分の立場を常に意識して、社
会に協調して生きようとするのである。
問 1、①「その一端」の「その」とは、何を指すのか。
1 自然に親しみ、自然に同化すること。
2 自然から安らぎを得てきたこと。
3 世間と自分とをひとしなみに表象してきたこと。
4 日本の社会が心安い社会だということ。
問 2、②「日本人の人間観や『自分』意識」は例えばどのようなものから生まれたと、筆
者は言っているのか。
1 同質的な社会。
2 安らぎを得られる社会。
3 寛容ではない社会。
4 世間の目が冷たい社会。
文章二、(4 点×6=24 点)
日本人にとって①山は山以上のものであった。山を見ながら、人は自然の懐に抱かれてい
る人間というものの存在のありかをはっきりと自覚することができた。(②)、国破れて山
河ありというとき、山河にいつもかわらぬ、共同体の帰属する心の故郷を持つことができ
た。
自然破壊は、自然の生態系を破壊するばかりではない。③近代科学的な自然保護、そのよ
うな自然観ばかりが先行すると、文化としての自然をないがしろにすることになる。たん
なる地質学的な山や植物学の標本のような自然は、いわば、(④)。どこまでいっても、利
用される素材としての自然をこえるものではない。よりよく、末ながく有効に利用しよう
という配慮いがいの何物でもない。そこで、自然を愛そうといい、あるいは、大切にしま
しょうといっても、究極的には(⑤)という生産社会の論理をあてはめているにすぎない。
山が山以上のものであるということ、文化としての自然があるということは、自然が人間
の精神文化の充実にかかわっているということである。個人はもとより、山を仰ぎみる共
同体の意識の形成、感性の熟成、歴史観の成立に、山がふかくかかわってきたし、今後も
そのようなものとして人間の目に見えない、いわば⑥第二の自然を形づくっているという
ことである。私たちが、産業社会の論理に行き詰まったまま、そこへ帰ってゆくことによ
って、見失われた日本人の根拠とのつながりを、心の奥ふかく抱いている奥ふかい真理へ
の愛や、故しれぬ超越者なるものとのつながりを見出す途でもある。それをひろく、宗教
的な情緒といってもいい。このような感性は、山を仰ぎ見、先人のさまざまな思い入れを
しのぶとき、今日でも、私たちのうちに甦ってくる。
問 3、①「山は山以上のものであった」とはどういうことか。
1 山は自然的なものだけでなく、精神的なものをも日本人に与えてきた。
2 日本の山はそこに生きるすべての生き物に、多くの恵みを与えてきた。
3 日本の山々は並の山ではなく、とてつもなく大きく険しいものであった。
4 山は自然の恵みばかりか、たくさんの貴重な資源を日本人に与えてきた。
問 4、(②)に入る最も適当な言葉はどれか。
1 それで 2 一方 3 だから 4 しかい
問 5、③「近代科学的な自然保護」とはどんなことを目的としたものか。
1 よりよく、末ながく有効に自然を利用しようとすること。
2 自然の生態系を重要なものと考えて、これを第一に保護すること。
3 自然の懐に抱かれている人間を大切にする、精神为義をめざすこと。
4 奥ふかい真理への愛や、超越者とつながる宗教心にあふれること。
問 6、(④)に入る最も適当な文はどれか。
1 自然の遺産である。2 自然の残物である。
3 自然の宝庫である。4 自然の断片である。
問 7、(⑤)に入る最も適当な言葉はどれか。
1 利潤追求 2 資源保護 3 環境破壊 4 共同意識
問 8、⑥「第二の自然」とあるが、ここでは「第一の自然」はどのようなものか。次の組
み合わせから正しいものを選びなさい。
1 資源と論理 2 素材と真理 3 資源と宗教 4 素材と文化
文章三、(3 点×6=18 点)
「勤勉こそ美徳である」という言葉は、21 世紀には死語にしたい。「心豊かに生きること
こそ美徳である」という言葉をそれに代えたい。
これまで日本人はよく働く国民であると世界的に評価されてきた。(①)、最近は②事情が
だいぶ変わってきた。日本人は働き過ぎだというのである。働くことだけに一生を費やし
てしまう日本人は、「働きバチ」にたとえられ、非難の対象にさえなっている。もちろん、
「働きバチ」にも③言い訳がないわけではない。狭い国土、高い人口密度、乏しい地下資
源。日本という国が生き延びていくには、とにかく働くしかなかったのである。これを支
えてきたのは勤勉以外の何ものでもない。
しかし、そうは言っても、世の中というのは常に動いている。20 世紀の日本と 21 世紀
の日本が同じはずはない。勤勉さのおかげで物質的に恵まれた日本は、④そのことを土台
にして新しい方向へと進んでいかなければならない。物質がすべてというこれまでの考え
方は、当然、反省されなければならないし、働きさえすればあとはどうでもいいという思
想も改めなければならない。たとえば、過労死の問題。人間は生きるために働くべきなの
に働いたために死んでしまう人がいる。何かを変えなければならない時に来ているのであ
る。
そこで考えられる物の一つがコンピュータである。コンピュータという言葉を聞いただけ
で、何か難しい、面倒くさいというイメージを持つ人がいるが、⑤そう言う人にあって話
を聞いてみると、たいていこれまでの考え方を変えずにコンピュータを頭から嫌ってい
る。これまでの考え方というのか、もちろん勤勉こそ美徳であるという考え方である。
なぜコンピュータを使うのか、その最も大事なところがきちんと理解されていない場合が
多い。つまり仕事をこれまでよりもたいくさんするためにコンピュータを使うのだと考え
ているのである。しかし、⑥これは大きな違いである。間違いと言って悪ければ、改める
べき習性と言っても良いかもしれない。
問 9、(①)に入る言葉は次のどれか。
1 それで 2 ところで 3 ところが 4 だから
問 10、②「事情がだいぶ変わってきた」とあるが、これはどういうことか。
1 よく働く国民の一生の過ごし方が変わった。
2 世界の日本人に対する見方が変わった。
3 働くことに対する日本人の意識が変わった。
4 日本人の働き過ぎだという評価が変わった。
問 11、③「言いわけ」とは、どんな言いわけか。
1 働かなかったら日本は生き延びただろうという言いわけ。
2 働かなければ日本の国土は狭くなっただろうという言いわけ。
3 働かなければ日本は生き延びられなかっただろうという言いわけ。
4 働かなかったら日本の人口はますます増えただろうという言いわけ。
問 12、④「そのこと」は何か。
1「働きバチ」と言われること 2 物質的に恵まれたこと
3 勤勉こそ美徳である 4 地下資源が乏しいこと
問 13、⑤「そういう人」は、どういう人のことか。
1 これまでの考え方でコンピュータを避けている人。
2 コンピュータの使い方にまだ十分慣れていない人。
3 コンピュータをまだ使ったことがない人。
4 仕事をするためにコンピュータを使っている人。
問 14、⑥「これは大きな違いである。」とはあるが、なぜか。
1 コンピュータの使い方をよく理解する前に、コンピュータを使っているから。
2 コンピュータの最大の利点は仕事の時間を短くすることにあるから。
3 コンピュータは 1 日 2 時間だけ使うものだから。
4 コンピュータを使って尐ししか仕事をしようとしないから。
Ⅳ.作文(50 点)
テーマ:「日本語が教えてくれたこと」
注意点:
①普通体で書くこと。
②字数は 600~700 字とする。
③自身の氏名、出身校を書いてはいけない。