J.TEST 学習必須項目
日本語検定協会/J.TEST 事務局
2010年2月26日
Ver.2.00
1 「J.TEST 学習必須項目」について
「J.TEST 学習必須項目」は、J.TEST を受験する為の最低限必要な学習項目を示したものです。
J.TEST では、この「学習必須項目」を受験者が習得していることを前提に、基本的な問題と、
応用・発展問題が出題されます。
J.TEST は、第二言語として日本語を学んでいる方を対象とした試験です。第二言語を用いた
高度なコミュニケーション能力を身につける為には、基礎的な文法・語彙・表現の知識が不可
欠です。基礎的な知識がなければ、応用力は身につきません。
2 日本語能力試験(JLPT)の改革と「J.TEST 学習必須項目」の発表について
(1)日本語能力試験(JLPT)の改革
2010年の日本語能力試験の改革は、日本語能力試験が「能力評価の為の試験」として確
固たる地位を確立するためのものです。能力判定の精度を高める為に、試験問題の非公開と、
厳密な意味での出題基準の廃止が決定されました。
(2)これまでの J.TEST
J.TEST においては、受験者が日本語能力試験の出題基準のような基礎的な学習項目を習得し
ていることを前提に、基本的な問題とコミュニケーション能力を測定する実践的な応用・発展
問題が出題されてきました。
また、J.TEST は、「能力評価の為の試験」であると同時に、試験が持つもう一つの社会的な
機能である「学習の指針の為の試験」の役割を重視し、これまで試験問題を公開してきました。
J.TEST の基本的な問題の多くは、日本語能力試験の出題基準と重複した項目から出題されて
きました。受験者や教育関係者の無用な混乱を避けるために、これまで J.TEST 独自の基準を明
示することを控えてきました。
(3)これからの J.TEST
J.TEST は今後も上記の方針~つまり、基礎的な学習項目を習得していることを前提とした出
題と試験問題の公開~を堅持します。
しかしながら、日本語能力試験において出題基準が廃止されたため、日本語学習者が習得す
べき基本項目をめぐって多少の混乱が生じました。
そこで、J.TEST の基本的な問題において前提としているもの=「J.TEST 学習必須項目」を学
習者の皆さんに示すことにしました。
学習者の皆さんは、この「学習必須項目」をまず習得し、J.TEST を受けるための基礎学力を
身につけましょう。そして定期的に実施される J.TEST を受験し、応用・発展的な能力の進歩状
況をチェックし、学習成果を確かめましょう。
3 「JLPT の出題基準」と「J.TEST 学習必須項目」の違い
日本語能力試験は、「出題基準」の中から80%程度が出題されるといわれています。こ
れに対して J.TEST における「学習必須項目」は、試験を受けるための最低限必要な知識、とい
う位置づけです。基本的な問題の多くは、「学習必須項目」を学ぶことで解け、認定も得るこ
とができるでしょう。しかし、「学習必須項目」をただ暗記するだけでは応用・発展的な能力
を身につけることはできません。
このように、「出題基準」と「学習必須項目」では試験における役割が異なります。
真のコミュニケーション能力を身につけるためには基礎力が不可欠です。
学習の第一段階として「学習必須項目」をまずしっかり習得しましょう。そして、そこに留
まることなく第二段階として、様々な日本語に積極的に触れ、日本語を自由に使えるようにな
りましょう。
この「J.TEST 学習必須項目」から日本語コミュニケーションの第一歩を始めましょう。
* 基礎力をつけるための「J.TEST 学習必須項目」公開スケジュール
2010 年 2 月末 E級、F級 文法
2010 年 3 月 15 日以降 E級、F級 語彙 *3 月の試験終了後に公開されます。
2010 年 5 月下旬 A~D級 シラバス
* 関連問題集
2010 年 3 月 15 日以降 「J.TEST E-Fレベル学習必須項目問題集」
2010 年 3 月「J.TEST 2009 年過去問題集」
2
*以下の文法項目は「J.TEST E-Fレベル学習必須項目問題集」の語彙と練習問題を
除く、文法項目(「1 E級文法項目」「6 F級文法項目」の全文です。
きゅう
ぶ ん
ぽ う
こ う
も く
F 級
文
法
項
目
1
1.助詞は格助詞と副助詞に分けずに提示しています。
2.それぞれの文法項目について国語文法的な説明は一切付けていません。
3.例文の漢字には全てふりがなが付いていますが、これは文法に注意を向けてもらいた
いからです。実際のF級の試験では、ふりがなが付いていない語彙も多くあります。
4.状態を表す表現のうち、よく使うものについては自動詞・他動詞にかかわらず、
「ている形」をそのまま提示しています。
(例) A
も
E持E
Aっています・A
し
E知E
Aっています・A
け っ
E結E
こ ん
E婚E
Aしています・A
き
E来E
Aています
5.文形を提示する際の「名詞」には「代名詞」が含まれるものとします。
6.「普通体」を「普通形」と呼ぶ初級用教材もありますが、本書では「普通体」と呼びます。
7.疑問詞・代名詞・連体詞・場所や方向を表す指示語・助数詞・数や時間に関しては語彙
表の中で扱っています。
8.「イ形容詞」は「形容詞」とも言います。「ダ形容詞」は「ナ形容詞」、「形容動詞」、
「ナニ名詞」とも言います。
9.「副詞形」は「連用形」とも言います。
10.「動詞」、「イ形容詞」、「ダ形容詞」の音便変化については学習済みであることを前提
としています。
(例) 飲みます、飲んで など
*E級とF級の語彙表は 3 月 15 日以降に発表します。
3
A
A
名詞述語文
【現在肯定文】
・名詞+は+名詞+です。
【現在否定文】
わたし
E私E
かい
E会E
しゃ
E社E
いん
E員E
AはA
Aです。
・名詞+は+名詞+ではありません。
わたし
E私E
かい
E会E
しゃ
E社E
いん
E員E
AはA
Aではありません。
【過去肯定文】
・名詞+は+名詞+でした。
【過去否定文】
わたし
E私E
かい
E会E
しゃ
E社E
いん
E員E
AはA
Aでした。
・名詞+は+名詞+ではありませんでした。 A
わたし
E私E
かい
E会E
しゃ
E社E
いん
E員E
AはA
Aではありませんでした。
【現在肯定疑問文】
・名詞+は+名詞+です+か。
【現在否定疑問文】
た
E田E
なか
E中E
AさんはA
かい
E会E
しゃ
E社E
いん
E員E
Aですか。
・名詞+は+名詞+ではありません+か。
た
E田E
なか
E中E
AさんはA
かい
E会E
しゃ
E社E
いん
E員E
Aではありませんか。
【過去肯定疑問文】
・名詞+は+名詞+でした+か。
た
E田E
なか
E中E
AさんはA
かい
E会E
しゃ
E社E
いん
E員E
Aでしたか。
【過去否定疑問文】
・名詞+は+名詞+ではありませんでした
た
E田E
なか
E中E
AさんはA
かい
E会E
しゃ
E社E
いん
E員E
Aではありませんでしたか。
+か。
【並列文】
・名詞+は+名詞+で、名詞+は+名詞
わたし
E私E
かい
E会E
しゃ
E社E
いん
E員E
AはA
Aで、A
た
E田E
なか
E中E
AさんはA
がく
E学E
せい
E生E
Aです。
+です。
疑問詞のある名詞述語文
・名詞+は+疑問詞+です+か。
それはA
なん
E何E
Aですか。
・疑問詞+が+名詞+です+か。
どれがあなたのA
かさ
E傘E
Aですか。
イ形容詞を使った文
【現在肯定文】
・名詞+は+イ形容詞+です。
これはおいしいです。
・名詞+は+イ形容詞+名詞+です。
これはおいしいりんごです。
【現在否定文】
・名詞+は+イ形容詞(語尾の「い」削除) これはおいしくないです。
+くない+です。
・名詞+は+イ形容詞+名詞+ではありま これはおいしいりんごではありません。
せん。
4
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
【過去肯定文】
・名詞+は+イ形容詞(語尾の「い」削除)
き の う
E昨日E
AのA
てん
E天E
き
E気E
Aはよかったです。
+かった+です。
・名詞+は+イ形容詞+名詞+でした。
き の う
E昨日E
AはいいA
てん
E天E
き
E気E
Aでした。
【過去否定文】
・名詞+は+イ形容詞(語尾の「い」削除)
き の う
E昨日E
AのA
てん
E天E
き
E気E
Aはよくなかったです。
+くなかった+です。
・名詞+は+イ形容詞+名詞
+ではありませんでした。
* 疑問文は名詞述語文に準じます。
【並列文】
き の う
E昨日E
AはいいA
てん
E天E
き
E気E
Aではありませんでした。
・名詞+は+イ形容詞(語尾の「い」削除) これはA
やす
E安E
+くて+イ形容詞+です。
・名詞+は+イ形容詞(語尾の「い」削除) これはA
やす
E安E
Aくておいしいです。
Aくてきれいです。
+くて+ダ形容詞+です。
【名詞化文】
・イ形容詞+の+は+名詞+です。
おいしいのはこれです。
・イ形容詞+の+は+イ形容詞+です。
・イ形容詞+の+は+ダ形容詞+です。
しろ
E白E
あか
E赤E
AいのはA
やす
E安E
Aいです。
Aいのはきれいです。
ダ形容詞を使った文
【現在肯定文】
・名詞+は+ダ形容詞+です。
これはきれいです。
・名詞+は+ダ形容詞+な+名詞+です。 これはきれいなA
はな
E花E
Aです。
【現在否定文】
・名詞+は+ダ形容詞+ではありません。 これはきれいではありません。
・名詞+は+ダ形容詞+な+名詞
+ではありません。
【過去肯定文】
・名詞+は+ダ形容詞+でした。
・名詞+は+ダ形容詞+な+名詞+でした。 A
【過去否定文】
・名詞+は+ダ形容詞
+ではありませんでした。
・名詞+は+ダ形容詞+な+名詞
+ではありませんでした。
* 疑問文は名詞述語文に準じます。
これはきれいなA
はな
E花E
Aではありません。
た
E田E
なか
E中E
た
E田E
なか
E中E
AさんはA
ゆう
E有E
めい
E名E
Aでした。
AさんはA
ゆう
E有E
めい
E名E
ひと
E人E
AなA
Aでした。
た
E田E
なか
E中E
AさんはA
ゆう
E有E
めい
E名E
Aではありませんでした。
た
E田E
なか
E中E
AさんはA
ゆう
E有E
めい
E名E
AなA
ひと
E人E
Aではありませんでした。
5
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
【並列文】
・名詞+は+ダ形容詞+で+イ形容詞+です。A
た
E田E
なか
E中E
AさんはA
ゆう
E有E
めい
E名E
Aでおもしろいです。
・名詞+は+ダ形容詞+で+ダ形容詞+です。 A
た
E田E
なか
E中E
AさんはA
ゆう
E有E
めい
E名E
Aできれいです。
【名詞化文】
・ダ形容詞+な+の+は+名詞+です。
ゆう
E有E
めい
E名E
AなのはA
た
E田E
なか
E中E
Aさんです。
・ダ形容詞+な+の+は+イ形容詞+です。 きれいなのはA
たか
E高E
Aいです。
・ダ形容詞+な+の+は+ダ形容詞+です。 A
しず
E静E
AかなのはA
いや
E嫌E
Aです。
動詞のます形
【現在肯定形】
・~ます
【現在否定形】
・~ません
【過去肯定形】
・~ました
【過去否定形】
・~ませんでした
* 疑問文は文末に「か」を付けます。
目的語のある動詞文
・名詞+を+動詞
はん
E飯E
ごA
た
E食E
AをA
Aべます。
イ形容詞の名詞化と目的語のある動詞文
・イ形容詞+の+を+動詞
しろ
E白E
AいのをA
か
E買E
Aいます。
ダ形容詞の名詞化と目的語のある動詞文
・ダ形容詞+な+の+を+動詞
きれいなのをA
E買E
か
Aいます。
動作の場所のある動詞文
・場所名詞+で+動詞
かい
E会E
しゃ
E社E
AでA
6
はたら
E 働 E
Aきます。
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
イ形容詞の副詞形を使った表現
* イ形容詞の副詞形は語尾の「い」を「く」に変えます。
・イ形容詞の副詞形+動詞
・名詞+が+イ形容詞の副詞形+なります。 A
・名詞+を+イ形容詞の副詞形+します。
はや
E早E
AくA
い
E行E
Aきます。
へ
E部E
や
E屋E
すず
E涼E
AがA
へ
E部E
や
E屋E
すず
E涼E
AをA
Aしくなります。
Aしくします。
ダ形容詞の副詞形を使った表現
* ダ形容詞の副詞形は「に」を加えます。
・ダ形容詞の副詞形+動詞
・名詞+が+ダ形容詞の副詞形+なります。 A
・名詞+を+ダ形容詞の副詞形+します。
じょう
E上E
ず
E手E
はな
E話E
AにA
Aします。
へ
E部E
や
E屋E
へ
E部E
や
E屋E
Aがきれいになります。
Aをきれいにします。
存在を表す文
【人や動物】
た
E田E
なか
E中E
AさんはA
きょう
E 教 E
しつ
E室E
Aにいます。
いぬ
E犬E
AはA
にわ
E庭E
Aにいます。
きょう
E教E
しつ
E室E
た
E田E
なか
E中E
AにA
Aさんがいます。
にわ
E庭E
AにA
いぬ
E犬E
Aがいます。
た
E田E
なか
E中E
Aさんはどこにいますか。
いぬ
E犬E
Aはどこにいますか。
きょう
E教E
しつ
E室E
だれ
E誰E
AにA
Aがいますか。
・名詞+は+場所名詞+に+います。
・場所名詞+に+名詞+が+います。
・名詞+は+場所を聞く疑問詞+に
+います+か。
・場所名詞+に+A
・場所名詞+に+A
だれ
E誰E
なに
E何E
A+が+います+か。
A+が+います+か。
にわ
E庭E
AにA
なに
E何E
Aがいますか。
【物】
・名詞+は+場所名詞+に+あります。
つくえ
E机E
AはA
きょう
E教E
しつ
E室E
Aにあります。
・場所名詞+に+名詞+が+あります。
・名詞+は+場所を聞く疑問詞+に
+あります+か。
きょう
E教E
しつ
E室E
AにA
つくえ
E机E
Aがあります。
つくえ
E机E
Aはどこにありますか。
・場所名詞+に+A
なに
E何E
A+が+あります+か。
きょう
E教E
しつ
E室E
なに
E何E
AにA
Aがありますか。
7
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
疑問詞を使った表現
・疑問詞+が
・疑問詞+を
・疑問詞+か
・疑問詞+も
* 他の疑問詞の具体例は語彙表の中で扱っています。
動詞のます形を使った表現
・~ませんか。
・~ましょう。
・~たいです。
・~たくないです。
・~ながら
・~に+動詞
動詞のて形を使った表現
・~て(~で)ください。
・~て(~で)います。
・~て(~で)から、
・~て(~で)、~て(~で)
・~て(~で)、+動詞
8
きょう
E教E
しつ
E室E
だれ
E誰E
AにA
Aがいますか。
なに
E何E
AをA
の
E飲E
Aみますか。
だれ
E誰E
なに
E何E
だれ
E誰E
なに
E何E
Aかいますか。
の
E飲E
AかA
Aみますか。
Aもいません。
の
E飲E
AもA
Aみません。
いっ
E一E
しょ
E緒E
AにA
えい
E映E
が
E画E
み
E見E
AをA
Aませんか。
いっ
E一E
しょ
E緒E
AにA
えい
E映E
が
E画E
み
E見E
AをA
Aましょう。
えい
E映E
が
E画E
えい
E映E
が
E画E
み
Aが(を)A
E見E
み
Aは(を)A
E見E
Aたいです。
Aたくないです。
ちゃ
E茶E
AをA
の
E飲E
おA
AみながらA
はな
E話E
Aしましょう。
デパートへA
ふく
E服E
か
E買E
AをA
AいにA
い
E行E
Aきます。
あ し た
E明日E
はや
E早E
AはA
き
E来E
AくA
Aてください。
くすり
E薬E
の
E飲E
AをA
Aんでください。
テレビをA
E見E
み
Aています。
けっ
E結E
こん
E婚E
Aしています。
あか
E赤E
AいA
ふく
E服E
き
E着E
AをA
Aています。
かお
E顔E
AをA
あら
E洗E
Aってから、A
で
E出E
Aかけます。
Aいて、A
かお
E顔E
AをA
あら
E洗E
Aって、それからA
で
E出E
Aかけ
は
みが
E磨E
AをA
E歯E
ます。
はん
E飯E
ごA
た
E食E
AをA
Aべて、A
べん
E勉E
きょう
E 強 E
Aします。
はさみをA
つか
E使E
Aって、A
き
E切E
Aります。
かぜをひいて、A
かい
E会E
しゃ
E社E
AをA
やす
E休E
Aみました。
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A